SKP Minutes

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2020年 菊門の乱#5 ファイヤーナイト

前回まではこちら

 

sakimotopro.hatenablog.com

 


世紀の国民的ヒット曲をどん底に叩き落したオペが終わり病室へ移送され、ベッドの上で尻を天井に向けて転がるワタシ。

鎮痛剤が効いているので鋭い痛みはないが、肛門を某有名器具で開いていたことで発生したへその裏側あたりの鈍痛が残っていた。


うつ伏せか横向きで寝っ転がる以外にやることが無く、スマホをポチポチ弄ったりウトウトしたりしていつしか夜のとばりがおりて晩飯もないので鎮痛剤、抗生物質と水だけ。

ひもじい…

 

消灯時間を過ぎてしばらくした頃、鎮痛剤が切れてきたのか突然肛門に痛みが広がってきた。

適切な喩えなのかわからないが焼けた鉄の棒を尻に突っ込まれているようだ。

オムツの上から確認するが勿論焼けてないし何も刺さってない。

一応中も見たがオムツの中に敷かれたガーゼに血が薄っすら滲んでいるばかり。

あんまり血が出てないことにも少し驚いた


痛すぎて眠気も霧散しているし、何なら夕方からウトウトしていたので眠くない。

罠だった。あの時間寝てはいけなかったのだ…


気をそらそうとしても目を瞑っても尻の痛みがすべてをかき消し、汗ばんだ手でシーツを握りしめ、歯を食いしばって小さな声で唸る時間が無限と思えるが如く続く。

タコ部屋なのに他に入院している人がいないので唸りは闇に吸い込まれていくばかり


ナースコールを押して鎮痛剤追加も考えたが、「一度頭蓋骨骨折をやらかして死の淵に瀕したこの俺が尻の痛み程度に屈することをオレの心は許すのか?」と過去の自分から全然いらん呪いをかけられてしまい我慢の道を進むことに。

辛い時は自分にもっと優しくしてあげるべきだったのになぁ…


少しでも痛くない姿勢はないものかと少し身じろぎするだけでもケツの痛みが瞬間的に跳ね上がる。

身体のどこを動かしても皮でつながっているから肛門が少し引っ張られるのだろか?

新口動物たるゆえんか?


ひたすら痛みに耐えつつ引き続き痛みの緩和か気を紛らわせたり眠気を誘うものはないかと暗い病室のベッドの上で試行錯誤の果てに辿り着いたのは【焚き火の動画を眺める】ことだった。


タブレットに映した揺らめく炎を見ていると心が落ち着きを取り戻してゆく…

次第にまどろみもやってきた。

時間は朝の3時から4時の間だったと思う。

耐え続けて精神的に疲弊しただけなのかもしれないがついに意識を失う時が来たようだ…


翌朝8時過ぎに看護師が見に来るまで無事に眠ることができた。

痛みが消えだわけではないが、夜中苦しんでいたときよりは幾分マシで、窓の外から見える朝日に感謝した。


暫くすると先生が来て術部の確認。オムツを剥がして尻を広げ、ライトを当てて肛門見聞録。

ガーゼが血で張り付いてたから剥がす時めちゃくちゃ痛かった…

しかし、出血も殆ど止まり良好な模様。


朝飯がないので空腹は続くのだが飯は手術翌日の夜まで許可されず、鎮痛剤、抗生物質と水だけ…痛みが引くと空腹を認知するようになってきて本当に辛かったので水を飲むんだが、そうするとトイレに行きたくなる。

ベッドからソロリと脚を下ろして立つとそれだけでケツが超痛い。

ロボコップみたいな歩き方しかできず、数m先のトイレに行くのにも時間かかって仕方がない。

Robocopwalk

オムツしてるから漏らしてもいいような気がしたけどそのためのオムツではないからやめといた。


一晩経ってなんであんなに痛かったのかと思い返すと身体の一部を切り取ってそれを縫合もせずそのままにしてるんだから当たり前といえば当たり前である。

切除という術式を侮っていたのだ。穴だけに


映画とかで銃で撃たれたり、ナイフで切られたまま走ったり戦ってるシーンを幾度となく見てきたけどアドレナリンで痛みを無視できるゴールデンタイムが過ぎたらあんな絶対事できない。

少なくとも私はあの状態で襲われたり地震が来たら成す術はなかった…


全然違うかもしれないが女性の生理のように痛みによって行動が大きく制限されてしまう事を僕は尻の穴で理解したけどあなたは?

 

次回、【術後生活は突き抜ける稲妻のごとく】ご期待ください。